接客・トーク術

キャバ嬢の名前の覚え方——忘れたときの切り抜け方も

お客様の名前は、席を離れてから思い出そうとしても残りにくいものです。覚えるなら席の中です。名前を聞いたらすぐに一度呼ぶ、頭の中で一言にまとめる、席を離れたらすぐ書き留める。この3つで、2回目に来たお客様の顔と名前はつながりやすくなります。この記事では、席の中での覚え方と、それでも思い出せないときの場面別の切り抜け方をまとめます。

退店後のメモの項目や、記録の道具の選び方はキャバ嬢の顧客管理メモ術——整理で指名が変わるにあります。


名前の聞き方——名乗ってから、呼び名を聞く

席に着いたら、自分から名乗ったうえで、早いうちに名前を聞きます。フルネームでなくてかまいません。聞くのは「どう呼んでほしいか」です。

はじめまして、〇〇です。お名前、なんてお呼びしたらいいですか?

お客様

さいとうです

さいとうさん。どの字のさいとうさんですか?

お客様

齋藤。いちばん画数の多い齋

齋藤さんですね。じゃあ齋藤さん、改めて乾杯しましょう

字を聞くのは、斉藤・斎藤・齋藤や渡辺・渡邊のように字がいくつかある名前か、読み方が難しい名前のときだけにします。字を聞くと、耳で聞いただけの名前に頭の中で形が付き、そのまま会話にもなります。

自分から先に名乗ると、お客様も名乗りやすくなります。こちらが少し自分のことを話すと相手も話しやすくなる傾向は、心理学者ジュラードの「自己開示の返報性」として知られています。名乗るのは源氏名で構いません。逆に「本名は?」と迫られたときの返し方は、下の注意の囲みにあります。

名刺は、出してくれるお客様もいれば、出したくないお客様もいます。「よかったら、お名刺いただけますか?」と聞いて、渋る様子なら「大丈夫です、お名前だけで」とすぐ引きます。

もらった名刺は声に出して読み上げず、名前を確かめたら名刺入れにしまいます。会社名や役職を口にすると、周りの席に聞こえることがあるからです。話題にするなら「お仕事、建設関係なんですね」くらいにとどめます。

名前を言いたがらないお客様もいます。そのときは無理に聞かず、「じゃあ、なんてお呼びしましょう?」と呼び名だけ決めてもらえば十分です。あだ名でも、名字だけでも構いません。


席の中で覚える——聞いた直後と、席を離れたとき

名前は、聞いてすぐに一度使うと残りやすくなります。席の中でできることを、タイミングごとに並べます。

いつ すること 例
名前を聞いた直後 すぐに一度、名前を入れて返す 「齋藤さん、今日はお仕事の帰りですか?」
話の途中 話題が変わるときに一度だけ呼ぶ 「ちなみに齋藤さんは、お休みの日って何してるんですか?」
席にいる間 名前と特徴・話題・飲み物を、頭の中で一言にまとめる 「齋藤・眼鏡・ゴルフ・焼酎」
席を離れたらすぐ お手洗いや付け回しで席を離れたら、頭の中の一言を書き留める。お客様の前ではスマホもメモも出さない 4語だけ書く
お客様がお帰りのとき 外に出る前に、店内で最後にもう一度呼ぶ 「齋藤さん、今日はありがとうございました」

何度も呼べば覚えるわけではありません。不自然に連呼すると、お客様も落ち着きません。話題が変わるときや最後のあいさつのように、名前があって自然な場面で使います。にぎやかな席で話しかけるときは、最初に名前を呼ぶと気づいてもらいやすくなります。騒がしい中でも自分の名前は耳に入りやすいことが知られていて、チェリー(1953年)が取り上げた「カクテルパーティー効果」の研究の流れで、モレイ(1959年)が確かめています。ただ、これは名前を呼ぶと好かれる、という根拠ではありません。

書き留めるとき、見た目は、眼鏡や時計、よく着ている服の色など変わらないものにして、体型や容姿の良し悪しは書かないようにします。メモが人の目に入っても困らない書き方にしておくためです。フロアでスマホを持てないお店なら、待機に戻ったらすぐ書きます。


思い出せないとき——場面ごとの切り抜け方

どれだけ気をつけていても、名前が出てこないことはあります。場面ごとに、できることが違います。

場面 できること
席に着く前 黒服に「〇番テーブルのお客様、前に来られた方ですよね。お名前わかりますか?」と聞く。メモを見返す
前に来た方か分からない 付け回しで席に着くとき、黒服の一声(初めての方か、前に来た方か)を聞き逃さない。聞けなかったら名前を呼ばずに話し、席を離れたときに確かめる
席に着いてから 名前を呼ばずに話す。前回の話が確かなときは、その話から入ると名前がなくても「覚えている」は伝わる
お連れの方がいる 前回の来店や前回の話には、お客様から出るまで触れない。名前は呼ばずに話し、席を離れたときに黒服に確かめる。お連れの方の名前は、名乗ってから聞く
同じ名字の方が何人もいる 下の名前か、呼び名で呼び分ける
ヘルプで付いた席 席に着く前に黒服か指名のキャストに聞く。席では指名のキャストの紹介を待つ
名字だけ思い出せる 「齋藤さん、下のお名前もお聞きしていいですか?」と、覚えている名字から聞く。言いにくそうなら名字で続ける
何も思い出せない 正直に聞く(言い方は表の下)
別の名前で呼んでしまった 「ごめんなさい!齋藤さんでした」と正しい名前で言い直して、そのまま話を続ける。言い訳はしない

正直に聞くときは、名前以外に覚えていることがあれば、それを先に伝えると受け取り方がやわらかくなります。ただし、前回の話が本当にそのお客様とのものだと確かで、お連れの方がいないときだけにします。

いちばん避けたいのは、ほかのお客様の名前で呼ぶことです。迷ったら、名前を呼ばないほうが安全です。ヘルプでの動き方はキャバクラのヘルプ立ち回り——初日から使えるコツにまとめています。


名前と一緒に預かっているもの——名刺とメモの扱い

お客様の名前は、名刺やメモと一緒に、お客様の個人情報として預かっているものです。名刺をお店で預かる、個人のスマホにお客様の情報を入れない、といった決まりのあるお店もあるので、まずはお店の決まりを確かめておきます。そのうえで、次のことに気をつけておくと安心です。

  • 名刺は、ほかのお客様の目に入る場所に置かないようにします。持ち帰るなら名刺入れにまとめ、捨てるときはお店に渡すか、シュレッダーにかけます
  • メモには、フルネームや会社名、連絡先のように、そのお客様だと分かってしまうことは書かず、スマホに残すなら画面ロックをかけておきます
  • お見送りの場所はお店の決まりに合わせ、外やエレベーターに入ったら、お客様の名字は呼ばず「今日はありがとうございました」だけにします。名字は周りの席にも聞こえるので、ほかのお客様がいる場所でも、大きな声で名字を呼ばないようにします
  • 名前からSNSや勤務先を調べることはしません。話題にするのは、お客様が席で話してくれたことだけにします。勤務先に連絡する、街で見かけて自分から声をかける、ということもしません

よくある質問

Q. お客様が多くて、全員は覚えきれません。誰から覚えればいいですか?

いちばん先は、指名してくれた方と、同伴や来店の予定が入っている方です。次が、2回目に来てくれた方。初めてのお客様は、席を離れたときの一言メモだけ残しておき、2回目に来てくれたときに名前と顔をつなげ直す、くらいで無理がありません。

Q. 写真を撮って覚えるのはありですか?

お客様の顔写真は、扱いの重い個人情報です。お店の決まりで撮影できないこともあるので、写真は使わずに覚えるほうが安全です。名前と変わらない特徴をメモしておけば、顔を見たときに思い出す手がかりになります。初対面の席での話の聞き方は、また会いたいと思われる初回接客の話し方——質問7割も参考になります。


次の席では、名前を聞いたらすぐに一度呼んでみてください。あわせて、思い出せないときの一言を1つ決めておくと、2回目のお客様の前でも落ち着いて話せます。

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